休職・復職運用マニュアル
概要
〔会社名〕では、社員の私傷病による休職と復職を、休職規程に基づいて運用しています。本マニュアルは、人事部・管理職・産業保健スタッフ向けに、休職開始から復職、フォローアップまでの実務フローをまとめたものです。
- 休職の事由・期間・取扱いは 休職規程(VII-127) が定める
- 本マニュアルは、規程を補完する 運用手順 を示す
- 個人の健康情報を扱うため、プライバシー保護を最優先 とする
全体フロー
欠勤発生 → 上長への相談 → 診断書提出 → 休職発令 → 休職中の連絡
↓
復職後フォロー ← 復職判定 ← 試し出勤 ← 復職準備 ← 主治医診断書(復職可)
ステップ 1:欠勤発生〜休職前の対応
上長の対応
- 連続して 1 週間程度欠勤している、または出社しても業務遂行に明らかな支障がある場合、まず本人と面談(オンライン可)し、状況を確認
- 医療機関の受診を勧奨。すでに通院中の場合は、主治医の指示内容を確認
- 人事部に速やかに共有
人事部の対応
- 上長と連携し、休職規程の説明、休職開始日・期間、社会保険料の本人負担分の取扱い等を本人に案内
- 産業医面談を案内(労安衛法 66 条の 8 の長時間労働者面接、ストレスチェック後の面接指導が該当する場合は、その流れに従う)
連続欠勤期間の取扱い
- 連続欠勤が 30 暦日 を超えると、休職規程に基づき休職を発令することがある
- 30 日に達する前でも、診断書で「療養を要する」とされた場合は早期に休職検討
ステップ 2:休職発令
必要書類
| 書類 | 提出者 | 提出先 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 主治医の診断書 | 本人 | 人事部 | 病名、療養期間、業務制限の所見を含むもの |
| 休職申請書 | 本人 | 人事部 | 会社所定の書式 |
| 産業医面談記録 | 産業医 | 人事部 | 必要に応じ |
| 休職通知書 | 人事部 | 本人 | 休職事由、期間、復職判定方法、満了時の取扱い等を明記 |
期間の決定
- 主治医の診断書、産業医の意見、勤続年数を踏まえ、休職規程第 4 条に基づき決定
- 休職開始日は、原則として連続欠勤の開始日に遡らない(運用基準は人事部と協議)
ステップ 3:休職中の対応
連絡頻度の目安
| 時期 | 連絡頻度 | 主体 |
|---|---|---|
| 休職開始直後(〜2 週間) | 必要時のみ | 人事部 |
| 休職開始 1 か月後〜 | 月 1 回程度 | 人事部 |
| 復職予定 2 か月前〜 | 隔週程度 | 人事部 + 産業医 |
- 連絡方法は本人の希望(電話、メール、書面)に合わせる
- 療養の妨げにならない頻度・時間帯 を厳守
- 業務に関する話題は最小限に。日常会話・体調確認を中心とする
傷病手当金の申請サポート
- 健康保険から 傷病手当金 が支給される可能性がある旨を案内
- 申請書の作成支援、事業主証明欄の記入、提出代行を人事部が行う
- 給付期間は支給開始日から通算 1 年 6 か月
社会保険料の本人負担分
- 給与から控除できないため、毎月本人が会社に振り込む
- 振込方法・期日を明記した案内書を毎月送付
ステップ 4:復職準備
復職申出のタイミング
- 復職予定日の 14 日前まで に、本人から人事部に申出
- 申出時に 復職可と判断する主治医の診断書 を提出
必要書類
| 書類 | 提出者 | 内容 |
|---|---|---|
| 復職申請書 | 本人 | 復職希望日、復職後の希望業務等 |
| 主治医診断書 | 本人 | 業務遂行能力、就業上の配慮事項 |
| 主治医意見書(任意) | 本人経由 | 業務軽減・残業制限等の具体的所見 |
| 産業医意見書 | 産業医 | 復職可否、配慮事項 |
産業医面談
- 主治医診断書受領後、産業医面談を実施
- 産業医は、業務との適合性、再発リスク、配慮事項を意見書として提出
ステップ 5:試し出勤(リハビリ出社)
目的
- 復職判定に必要な情報を得るため、業務環境への適応状況を確認
- 本人にとっても、生活リズムの回復、職場復帰への助走期間
運用要件
- 期間:原則として 4 週間以内(休職期間に含める)
- 賃金:支給しない(交通費の実費を除く)
- 業務指示は伴わない。本人の自主的な活動として運用
- 事故は労災対象外。会社は必要な安全配慮を行う
- 本人と主治医・産業医の同意が前提
試し出勤プラン(例)
| 週 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| 第 1 週 | 自宅から会社まで通勤、1〜2 時間の在席 | 午前のみ |
| 第 2 週 | 軽い読書・資料閲覧 | 午前〜昼食 |
| 第 3 週 | 簡単な書類整理、ミーティング同席(観察) | 4〜5 時間 |
| 第 4 週 | 半日勤務相当の活動 | 半日 |
ステップ 6:復職判定
復職判定会議
- 構成:人事部長、所属部門の管理職、産業医、必要に応じ実施事務従事者
- 議題:
- 主治医・産業医の意見
- 試し出勤の結果
- 本人の希望
- 業務との適合性
- 復職時の配慮事項
復職可と判定する条件(目安)
- 主治医が業務遂行可能と判断していること
- 産業医が業務との適合性を認めていること
- 試し出勤を通常勤務に近い形で完了できたこと
- 通勤・生活リズムが安定していること
- 主治医の指示する服薬・通院が継続できる見通しがあること
復職時の配慮(例)
- 復職後 1〜3 か月は時短勤務(6 時間勤務など)
- 残業・深夜業の制限
- 業務量・難易度の段階的引き上げ
- 配置(部署・職務)の調整(休職前と必ずしも同一でない)
ステップ 7:復職後のフォロー
フォローアップ面談
| 時期 | 実施者 | 内容 |
|---|---|---|
| 復職 1 か月後 | 上長 + 人事部 | 業務量、体調、悩みの聴取 |
| 復職 3 か月後 | 上長 + 人事部 + 産業医 | 業務適合性、配慮事項の見直し |
| 復職 6 か月後 | 上長 + 人事部 | 通常勤務への移行可否 |
| 復職 1 年後 | 上長 | 通常勤務への完全移行確認 |
再発時の対応
- 復職日から 6 か月以内 に同一・類似の傷病で再休職する場合、休職期間は前回と通算
- 通算した期間が休職規程上の上限を超える場合、原則として満了による自然退職となる
- 期間延長は、本人の同意と会社の判断により行うことができる
ステップ 8:休職期間満了の対応
満了見込み 30 日前
- 人事部から本人に「休職期間満了見込み」を書面で通知
- 復職の見通し、延長希望の有無を確認
満了 14 日前
- 復職できない場合、自然退職となる旨を改めて書面で通知
- 退職手続(年金・健保の切替、退職金、私物整理)の案内
満了当日
- 自然退職の場合は退職手続を実施
- 復職する場合は復職通知書を交付
プライバシー保護
- 病名、診断内容、面談記録は 人事部および産業医の管理する施錠キャビネットまたは権限制限のあるシステム で保管
- 上長への共有は、業務上の配慮に必要な範囲に限定(病名そのものは原則開示しない)
- 同僚への共有は本人の同意を得てから(休職期間中の引継ぎ等で必要な情報のみ)
よくある質問(FAQ)
Q1. 休職中に転職活動をしてもよいですか? A. 療養に専念する義務があるため、休職目的に反する活動(転職活動を含む)は望ましくありません。会社が把握した場合、休職事由消滅とみなして復職を命じる、または懲戒の対象となることがあります。
Q2. 復職時に元の部署に戻れますか? A. 必ずしも同一の部署・業務に戻れるとは限りません。休職前の業務との適合性、本人の健康状態、組織状況を総合的に判断します。
Q3. 試し出勤で給与は出ますか? A. 試し出勤は業務指示を伴わない自主的な活動として運用するため、給与は支給しません。交通費の実費のみ支給します。
Q4. 傷病手当金はいつまで支給されますか? A. 健康保険から、支給開始日から通算 1 年 6 か月支給されます。詳細は健康保険組合または協会けんぽにお問合せください。
Q5. 休職中の年次有給休暇は付与されますか? A. 出勤率の算定方法により異なります。詳細は人事部にお問合せください。
関連規程・マニュアル
- 休職規程(VII-127)
- メンタルヘルス対策規程(VII-120)
- 健康管理規程(VII-108)
- 安全衛生管理規程(VII-106)
- ストレスチェック実施マニュアル(MAN-022)
