休職制度は法律上の義務ではありませんが、多くの企業が就業規則・休職規程で定めています。特にメンタル不調による休職が増えるなか、休職期間・復職判定・期間満了時の取扱いが曖昧だと、復職トラブルや解雇をめぐる紛争に発展します。
本記事では、休職規程(私傷病休職を中心に)の作り方を、復職判定や期間満了の実務とあわせて整理します。
休職の種類
| 種類 | 概要 |
|---|---|
| 私傷病休職 | 業務外の傷病による長期欠勤 |
| 事故欠勤休職 | 傷病以外の自己都合による欠勤 |
| 起訴休職 | 刑事事件で起訴された場合 |
| 出向休職 | 他社への出向期間中 |
| 自己都合休職 | 留学・ボランティア等 |
最も論点が多いのが私傷病休職です。以下、私傷病休職を中心に解説します。
私傷病休職の規程に盛り込むべき項目
1. 適用要件
- 対象者(試用期間中・有期契約者を含むか)
- 休職開始の要件(欠勤が一定日数(例:連続〇日/通算〇日)継続したとき)
- 会社が命じる形か、申請による形か
2. 休職期間
勤続年数に応じて設定するのが一般的です。
| 勤続年数 | 休職期間(例) |
|---|---|
| 〜3年未満 | 3〜6か月 |
| 3〜5年 | 6〜12か月 |
| 5年以上 | 12〜18か月 |
3. 休職中の賃金・社会保険料
- 賃金は無給とするのが一般的(健康保険の傷病手当金で対応)
- 社会保険料の本人負担分の徴収方法(毎月の振込等)を明記
4. 休職期間中の取扱い
- 定期的な状況報告
- 連絡窓口・主治医との連携
5. 復職
- 復職の申出と復職判定(後述)
- リハビリ出勤・試し出勤の制度
- 復職後の再休職(通算規定)
6. 期間満了時の取扱い
- 休職期間満了までに復職できない場合の退職または解雇
- この扱いを規程で明確にすることが重要
復職判定の実務
復職をめぐるトラブルを防ぐには、客観的な復職判定の仕組みが欠かせません。
- 主治医の診断書の提出
- 産業医・会社指定医の面談・意見を踏まえた会社判断
- 「主治医が復職可と言えば自動的に復職」ではなく、業務遂行が可能かを会社が判断する
- 復職基準(通勤できる、所定労働時間勤務できる等)を明確化
主治医の診断書だけで判断すると、業務に耐えられない状態での復職→再休職を招きます。産業医を関与させる仕組みを規程に組み込みます。
通算規定(再発への対応)
メンタル不調は再発しやすいため、再休職時の通算規定が重要です。
- 復職後一定期間内(例:6か月)に同一・類似の事由で再休職した場合、休職期間を通算する
- これがないと、復職と短期休職を繰り返して休職期間が事実上無限に延びる
ありがちな失敗
1. 期間満了時の取扱いが不明確
満了後に復職できない場合の扱いを定めていないと、解雇トラブルになります。規程で明確にします。
2. 主治医の診断書だけで復職判定
業務遂行可能性を会社が判断する仕組みがないと、再休職を繰り返します。産業医を関与させます。
3. 通算規定がない
再休職の通算がないと、休職期間が際限なく延びます。通算規定を設けます。
規程ログでの整備
規程ログには、休職規程をはじめとする就業規則関連の規程テンプレートが揃っており、メンタルヘルス対策規程・安全衛生管理規程との整合を確認しながら整備できます。改訂時には改訂履歴と全従業員への周知・既読証跡を残せます。
まとめ
休職規程は、私傷病休職を中心に、適用要件・勤続年数別の休職期間・休職中の取扱い・復職判定・期間満了時の扱い・通算規定を柱に整備します。鍵は、産業医を関与させた客観的な復職判定と、期間満了・再休職の取扱いを明確にすることです。メンタル不調の増加を踏まえ、紛争を防ぐ設計にしましょう。
※ 本記事は一般的な情報整理を目的としています。休職・復職・解雇をめぐる個別判断は、弁護士・社労士・産業医による確認を推奨します。
