反社会的勢力との関係遮断は、企業コンプライアンスの基本です。全都道府県で暴力団排除条例が施行され、取引先・金融機関・上場審査のいずれでも「反社排除の体制」が問われます。反社会的勢力排除規程は、その体制を社内ルールとして明確にする規程です。
本記事では、反社会的勢力排除規程の作り方を、反社チェック・暴排条項・発覚時の対応とあわせて整理します。
規程整備の背景
- 暴力団排除条例が全都道府県で施行され、事業者に暴力団排除の努力義務・利益供与の禁止等
- 政府指針(企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針)が基本的な考え方を提示
- 金融機関・取引先・上場審査で、反社チェック体制の整備が前提に
反社会的勢力の範囲
規程ではまず「反社会的勢力」の範囲を定義します。一般に次を含みます。
- 暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業
- 総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団
- これらに準ずる者、密接な関係を有する者
近年は、明確な暴力団以外の反市場勢力・準暴力団も視野に入れて定義することが増えています。
規程に盛り込むべき項目
1. 目的・基本方針
- 反社会的勢力との一切の関係遮断
- 不当要求に対して組織的に対応し、利益供与を行わない旨
2. 適用範囲・対象
- 取引先(契約締結時・継続中)
- 株主・役員・従業員の採用
- 取引以外の関係(寄付・スポンサー等)
3. 取引前のチェック(反社チェック)
- 新規取引時の確認手順
- チェックの方法(後述)
- 確認結果の記録・保管
4. 契約書の暴力団排除条項
すべての契約に暴排条項を盛り込みます。要素は、
- 自らが反社会的勢力でないことの表明・確約
- 反社であることが判明した場合の無催告解除権
- 解除による損害賠償の免責
- 不当要求への対応
5. 発覚時の対応
- 取引中に反社判明時の契約解除手順
- 不当要求を受けた場合の対応(記録・警察/弁護士への相談)
- 対応体制(担当部署・責任者)
6. 通報・相談
- 社内の報告・相談ルート
- 警察・暴力追放運動推進センター・弁護士との連携
7. 教育・点検
- 役職員への教育
- 定期的な取引先の再チェック
反社チェックの方法
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 新聞・記事データベース | 過去の報道を検索(一次スクリーニング) |
| 専門調査会社 | 反社データベースによる確認 |
| 警察・センターへの照会 | 一定の要件で相談・照会 |
| 公開情報・自社情報 | 登記・ウェブ・取引実績の確認 |
リスクに応じて方法を組み合わせ、確認した記録を残すことが重要です。
上場審査・取引先審査との関係
- 上場準備では、反社チェック体制・暴排条項の整備状況が審査対象
- 大企業との取引でも、反社排除体制の有無が取引可否に影響
「規程がある」だけでなく、運用され、記録が残っていることが評価されます。
ありがちな失敗
1. 暴排条項が一部契約に入っていない
すべての契約に網羅されていないと、いざというとき解除できません。契約ひな型に標準搭載します。
2. チェックが新規時だけ
取引開始後に反社化するケースもあります。定期的な再チェックを組み込みます。
3. 記録が残っていない
「確認した」だけで記録がないと、監査・審査で立証できません。確認記録を保管します。
規程ログでの整備
規程ログには、反社会的勢力排除規程をはじめとするコンプライアンス関連規程のテンプレートが揃っており、改訂履歴と全役職員への周知・既読証跡を残せます。暴排条項の改定や体制変更を確実に周知し、上場審査・取引先審査での証跡として活用できます。
まとめ
反社会的勢力排除規程は、反社の定義・取引前チェック・暴排条項・発覚時の対応・通報体制を柱に整備します。暴排条項を全契約に標準搭載し、新規・継続の両面でチェックを行い、確認記録を残すことが、暴排条例対応・上場審査・取引先審査のいずれにも効きます。
※ 本記事は一般的な情報整理を目的としています。反社チェックの具体的手法や契約条項は、弁護士・専門調査会社による確認を推奨します。
