管理職向けハラスメント対応マニュアル
はじめに
このマニュアルは、〔会社名〕の管理職が、職場におけるハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラ等)の兆候を早期に把握し、適切に初動対応するための指針です。
管理職には、パワハラ防止法(労働施策総合推進法 30 条の 2)、男女雇用機会均等法、育児介護休業法に基づく 措置義務 があります。「知らなかった」では済まされません。
早期発見のサイン
以下の変化に気付いたら、ハラスメントの可能性を視野に入れてください。
- 特定メンバーの遅刻・欠勤・離席の増加
- 表情が硬い、発言が極端に減った
- 特定の上司・同僚の前でのみ態度が変わる
- チーム内で会話が途絶える、笑顔が消える
- 退職相談・異動希望の急増
部下から相談を受けた場合
傾聴の作法
- 否定しない:「気のせいでは」「相手も悪気はない」は禁句
- 解決を急がない:その場で結論を出そうとしない
- 守秘を約束する:「ここで聞いた話は本人の同意なく共有しません」
- 記録を取る許可を得る:日時・場所・発言内容をできる限り客観的に
- 本人の意向を確認する:「どうしたいですか」「何をしてほしいですか」
やってはいけないこと
- 「自分も若いころは…」と自分の話にすり替える
- 加害者とされる人物に独断で確認しに行く
- 軽い気持ちでチームに共有する
- 相談者本人を励ますつもりで「もう少し頑張って」と言う
相談窓口への連携
管理職単独で抱え込まず、以下のいずれかへ速やかに連携してください。
- 人事部ハラスメント相談窓口
- コンプライアンス相談窓口
- 外部相談窓口(〔外部窓口連絡先〕)
連携は相談者の同意を得たうえで行うのが原則ですが、生命・身体に関わる重大事案の場合は、同意がなくとも速やかに窓口へ連携してください。
中立性の確保(利益相反の回避)
管理職自身が当事者(加害者・被害者・利害関係者)である場合、対応から離れ、上位管理職または人事部へ引き継いでください。例:
- 自分の指導が問題視されている
- 加害者・被害者と私的関係がある
- 自分の評価権限下で起きた事案
ヒアリングと暫定措置
ヒアリングの順序は原則として、相談者 → 第三者(目撃者)→ 加害者とされる者、の順で行います。記録には事実と意見を分けて記載してください。
事実認定前であっても、被害拡大を防ぐため以下の暫定措置を検討します。
- 席替え・業務分離
- 在宅勤務の活用
- 直属関係の一時解除
- 接触禁止の指示
暫定措置は被害者に不利益とならない形で実施してください。
事実認定後の処分・再発防止
事実認定は懲戒委員会の判断によります。管理職が単独で「処分相当」と判断・公表しないでください。
再発防止策として以下を行います。
- 部署単位での研修再受講
- 関係者面談の継続フォロー
- 組織体制・評価制度の見直し検討
二次被害の防止
以下は二次被害として厳に避けてください。
- 社内で噂を広める、SNS に投稿する
- 相談者・通報者への報復人事(配転・評価下げ)
- 「告げ口した人」探し
- 加害者とされる人物の家族・取引先への連絡
報復行為自体がハラスメント防止法上の禁止行為であり、別途懲戒対象となります。
法的位置づけ(参考)
- パワハラ防止法(労働施策総合推進法 30 条の 2)
- 男女雇用機会均等法(セクハラ・マタハラ)
- 育児・介護休業法(育児休業等に関するハラスメント)
- カスハラについては事業主の安全配慮義務(労契法 5 条)として対応
最新の対応指針は規程ライブラリの「ハラスメント」タブから確認してください。