特別条項付き36協定(様式第9号の2)は、臨時的な特別の事情がある場合に限り、月45時間・年360時間の限度時間を超える時間外労働を認める仕組みです。「臨時的」と言えるかどうかは具体的事由の書き方でほぼ決まり、ここが抽象的だと労基署の窓口で指導・差し戻しの対象になります。
大原則:臨時性・突発性が読み取れること
特別条項は「常態としては限度内、例外的に超える」ための条項です。したがって、恒常的な長時間労働を前提にした表現はNGです。
| NG例(恒常的と読まれる) | 理由 |
|---|---|
| 業務の都合上必要なとき | いつでも発動できる=臨時性がない |
| 人手不足のため | 構造的な問題であり臨時的でない |
| 業務量が多いため | 恒常的な業務量を理由にしている |
業種別・記入例10選
- 大規模な受注・納期の変更に伴う臨時の生産対応のため(製造)
- 予期しない設備トラブルの復旧対応のため(製造・設備)
- 決算・監査対応が集中する時期の経理業務のため(管理部門)
- 年度末の申告業務の集中のため(士業・経理)
- 大型プロジェクトの納期直前の検証・修正対応のため(IT)
- 障害発生時の緊急対応・復旧作業のため(IT・インフラ)
- 引越し・季節需要の繁忙期における配送業務のため(物流)
- 台風・降雪等の災害に伴う緊急保安対応のため(建設・保安)
- 感染症流行期における入所者対応の増加のため(福祉・医療)
- 大型キャンペーン期間中の受注処理・問い合わせ対応のため(小売・EC)
いずれも「何が・いつ・なぜ臨時に起きるのか」が読み取れる形です。自社の実態に合わせて、業務の種類ごとに書き分けてください。
忘れがちな上限(特別条項でも超えられない)
特別条項を付けても、次の上限は絶対に超えられません(罰則付き)。
- 年720時間以内(時間外のみ)
- 単月100時間未満(時間外+休日労働)
- 2〜6か月平均80時間以内(時間外+休日労働)
- 月45時間を超えられるのは年6回まで
セットで必要:健康福祉確保措置
様式第9号の2では、限度時間を超える労働者への健康福祉確保措置を選んで記載します。厚労省指針の選択肢から、実施可能なものを選びます。
- 医師による面接指導
- 深夜業(22時〜5時)の回数制限
- 終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)
- 代償休日・特別な休暇の付与
- 健康診断の実施
- 連続休暇の取得促進
- 心とからだの相談窓口の設置
- 配置転換
- 産業医等による助言・指導や保健指導
「面接指導を実施する」とだけ書くのではなく、発動条件(例:月80時間超で申出があった場合)と実施内容まで書くと指導を受けにくくなります。
まとめ
特別条項は「書けば通る」ものではなく、臨時性の説明と健康確保の仕組みをセットで示す書類です。規程ログでは、特別条項の具体的事由・健康確保措置の記載欄を含む様式第9号の2準拠の協定書を作成でき、翌年更新もワンクリックで複製できます。顧問先を多く抱える社労士の方は、事務所向けの一括管理もご覧ください。
