「あの業務はあの人しかできない」——属人化の解消にマニュアル整備は欠かせませんが、作ったのに読まれない・更新されないという失敗も同じくらい多く起きています。
本記事では、業務マニュアルと作業手順書の違いから、作り方の手順、構成テンプレート、形骸化させない運用までを整理します。
マニュアルと手順書の違い
| 業務マニュアル | 作業手順書 | |
|---|---|---|
| 範囲 | 業務全体(背景・判断基準を含む) | 単一の作業 |
| 目的 | 業務の標準化・引き継ぎ | 誰がやっても同じ結果にする |
| 例 | 経費精算マニュアル | 請求書発行の手順書 |
手順書はマニュアルの部品です。まず業務の全体像をマニュアルで示し、個々の作業を手順書に落とすと構造が整理されます。
作り方の5ステップ
- 対象業務を決める — 「頻度が高い×属人化している」業務から。全業務を一気にやろうとすると必ず頓挫します
- 業務を洗い出す — 実際の担当者にヒアリングし、作業の分岐(例外処理)まで拾う。ここで拾い漏れた例外が「結局あの人に聞く」の原因になります
- 構成を作る — 後述のテンプレートに沿って目次から書く。いきなり本文から書き始めない
- 本文を書く — 1手順1動作で書く。「適宜」「必要に応じて」は判断基準を添える。画面操作はスクリーンショットを付ける
- 試してから公開する — 業務を知らない人に手順書だけで作業してもらい、詰まった箇所を直してから公開する
そのまま使える構成テンプレート
1. この業務の目的(なぜやるのか)
2. 全体フロー(開始条件 → 作業 → 完了条件)
3. 前提・準備(必要な権限、使うシステム)
4. 手順(1手順1動作、スクリーンショット付き)
5. 例外・トラブル時の対応(判断基準と相談先)
6. 関連規程・関連マニュアルへのリンク
7. 改訂履歴(版・日付・変更点・承認者)
ポイントは6と7です。マニュアルは単体で存在するのではなく、経費精算マニュアルなら経理規程・出張旅費規程と紐づきます。規程と矛盾したマニュアルは現場を混乱させるため、相互リンクで整合を取ります。
「作ったのに読まれない」を防ぐ運用
マニュアル整備が失敗する原因は、書き方よりも運用にあります。
- 保管場所を一元化する — 共有フォルダに散在した瞬間に「どれが最新か分からない」が始まります
- オーナーを決める — マニュアルごとに改訂責任者を1人決め、業務変更時に更新する役割を明確にする
- 改訂履歴を残す — 「いつ・誰が・何を変えたか」が残らないと、古い手順で作業する事故を防げません
- 周知と既読を記録する — 更新を通知し、対象者が読んだかを確認する。読まれていないマニュアルは存在しないのと同じです
Wordと共有フォルダの運用でこれを維持するのは相当な労力です(Word + 共有フォルダによる規程管理の限界で詳しく解説しています)。
規程とマニュアルを同じ仕組みで管理する
マニュアルの版管理・周知・既読管理は、社内規程の管理とまったく同じ構造です。規程ログは社内規程の管理サービスですが、業務マニュアルや職員への周知文書にもそのまま使えます。改訂履歴が自動で残り、更新時には対象者への周知と既読状況の確認までを一元化できます。
