「社内規程を整備しろと言われたが、何から作ればいいのか分からない」——規程整備の相談で最も多い悩みです。
結論から言うと、規程は①法律上の義務があるもの → ②事故が起きると致命的なもの → ③運用を効率化するものの順で整備するのが定石です。本記事では会社に必要な規程を一覧化し、優先順位を付けて解説します。
第1層:法律上の義務・準義務がある規程
まず着手すべき規程です。未整備は法令違反や措置義務違反に直結します。
| 規程 | 根拠・義務の内容 |
|---|---|
| 就業規則 | 常時10人以上の事業場は作成・届出義務(労基法89条) |
| 賃金規程 | 就業規則の絶対的必要記載事項。別規程化が一般的 |
| 育児・介護休業規程 | 育介法に基づく制度整備。2025年改正で項目追加 |
| ハラスメント防止規程 | パワハラ防止法の措置義務(全企業) |
| 36協定など労使協定 | 残業させるなら締結・届出が必須 |
| 安全衛生管理規程 | 労安衛法の管理体制(規模により選任義務) |
第2層:事故が起きると致命的な「リスク対応」規程
義務ではなくても、未整備のまま事故が起きると損害が大きい領域です。
| 規程 | 想定リスク |
|---|---|
| 情報セキュリティ規程 | 情報漏えい・不正アクセス |
| 個人情報保護規程 | 個情法違反・Pマーク要件 |
| 秘密保持・競業避止規程 | 退職者による営業秘密流出 |
| 内部通報規程 | 不正の見逃し(301人以上は体制整備義務) |
| 反社会的勢力排除規程 | 取引先経由のコンプラ事故 |
| SNS利用規程・生成AI利用規程 | 炎上・機密情報の入力事故 |
| BCP・災害対応規程 | 有事の事業停止 |
第3層:組織運用を支える規程
組織の成長に合わせて整備します。内部統制や監査対応で求められる領域です。
- 職務権限規程・稟議規程 — 誰が何をいくらまで決裁できるか
- 経理規程・経費精算規程・出張旅費規程 — 支出の統制と税務対応
- 文書管理規程 — 法定保存年限と廃棄ルール
- 印章管理規程 — 押印フローと電子契約への移行
- 慶弔見舞金規程・退職金規程 — 制度化するなら記載義務が発生
- テレワーク規程・マイカー通勤規程 — 働き方に応じて
整備を進める4ステップ
- 現状棚卸し — 上の一覧に対して「ある・ない・あるが古い」を仕分ける
- 優先順位付け — 第1層の欠落と、直近の事業リスク(例:リモート中心ならセキュリティ系)を先に
- 作成・改訂 — ひな形から出発し、自社の実態に合わせる。実態と乖離した規程は形骸化します
- 周知と維持 — 規程は作った時点から古くなります。改訂履歴と従業員への周知・既読の記録を残す運用まで設計する
「一覧を作って終わり」にしないために
規程整備で本当に難しいのは、作ることではなく最新に保ち、全員に周知し続けることです。法改正のたびに第1層の規程は見直しが発生し、周知漏れは規程の効力自体を揺るがします(詳しくは規程管理とは|目的・進め方・運用のベストプラクティス)。
規程ログでは、この一覧に挙げた規程のテンプレートを揃えており、版管理・改訂履歴・周知と既読管理・AIによる法令チェックまで一元化できます。まずは自社の「ある・ない」の棚卸しからどうぞ。
